
青森の弘前にある【青森銀行記念館】(旧第五十九銀行本店)は、旧名の通り全国で59番目に造られた国立の銀行だそうです。青森といえば北陸なので雪が多いイメージがあり、実際一般の住まいにも屋根へ上れるはしごがついているところが多かったり関東とは少し違う建物の造りでした。【青森銀行記念館】は一見普通の洋風建築ですが屋根の周囲には、西洋建築でよくみかけるベランダやバルコニーなどで連続的に装飾がされている欄干があります。これは見た目だけでなく屋根に積もる雪が滑り落ちるのを防ぐためであるそう。また、日本の伝統構法『土蔵造り』も使用されており、防火対策もしっかりしている。
今回はそんな国指定重要文化財でもある旧第五十九銀行本店本館【青森銀行記念館】についてご紹介。
今も昔も立派な内装
正面玄関を開けると広い銀行のカウンターが出迎えてくれます。カウンターの先は”営業室”と呼ばれていますが仕切られた部屋があるわけではないので奥まで見えます。現在は”営業室”に旧第五十九銀行本店についてや昔のお金などが展示されています。
当時の五圓札などお札類や株券、今では見ない形の丁銀や分金、軍の物資など用に発行された擬似紙幣”軍用手票”などなど、珍しいものが並んでいて興味深い。
立派な建物なので、私が銀座三越に入るときちょっと気が引き締まる気持ちになるのとおんなじで当時一般人の身としてはちょっと入っていいのかなと思いそうだなあと思ったり。
明治期によく使われた金唐革紙
明治の洋風建築などでよく使われていた金唐革紙ですが、青森銀行記念館でもいくつかの部屋の天井に使用されています。明治期の建築で有名な鹿鳴館でも使われていたものであり、壁紙として使用されるだけで豪華で華やかな部屋に感じます。実際、和紙に金箔などを貼っていて高級品です。
現在金唐革紙を使用した建築で残っているその一つが旧岩崎邸です。私が明治の建築で興味を持ち始めたのがジョサイア・コンドルの建築物であり、鹿鳴館や旧岩崎邸が彼の作品なのですが金唐革紙繋がりでちょっと嬉しく思いました。明治を感じる壁紙です。
この時代の会議室をみるとどうしても肩章をつけた軍服で丸眼鏡、とか口ひげの怖そうな人々が座っているのを想像してしまう…。
アンティークな階段
二階の大会議室は何人でどんな会議を想定しているのかとても広いです。その広い中になぜか上へ続く階段がぽつんと存在している。最初見たときは「!?」と思っていたけど、階段のある辺りが正面玄関側で、その真ん中らへんに位置するので、外観からみたときにある”展望台”に続くんだろうなと画像を改めてみて思いました。
一階から二階へ続く階段は、お客様側と営業室を抜けた先の二か所あります。こちらもまた味があって良い~。
- 大会議室にぽつんとある階段
- 大会議室から一階へ続く
- 別の角度から
色といい装飾といいこのアンティーク感がたまらない。大会議室から一階へ続く階段の間、空間が気になって仕方ない。ここはなんのための空間なんだろう?火災報知器らしい赤いランプが階段の下にくっついているのも気になる。
まとめ
ルネッサンス風の建築ですが、日本の土蔵造りなど棟梁の堀江佐吉の技術工夫が詰まった建築です。シンプルでありながら高級感の漂う造りで、時代を色濃く残しています。建て替えのため取り壊しの話があったようですが、地元の方々などが反対し保存されることになったそうで、感謝です。今後も残しておきたい貴重な明治の建築でした。
青森銀行記念館MAP
【青森銀行記念館】
- 入館料 :高校生以上¥200 小・中学生¥100
- 開館時間:9時30分~16時30分
- 休館日 :火曜